デポルターレクラブには、トップアスリート、経営者、文化人、芸能人など幅広い業界の一流の方が多く通っていただいています。そうした一流の会員様がトップランナーとして走り続けるためには、ライフスタイルや日常の習慣にその理由が隠されています。そこで、デポルターレクラブでは、代表・竹下雄真と会員様との対談企画をスタート。日ごろ実践している健康法やウェルネスに対する考え方、そして、忙しい日々の中、どのようにスケジュールを管理しているかを聞き、一流の会員様が一流である所以に迫ります。連載第2回目は、株式会社2100 CEOの国見昭仁さんをゲストにお招きしました。
竹下 国見さんとは普段からいろんな話をさせていただいていますが、今日は改めて、国見さんのお仕事や事業の取り組みについて聞かせてください。
国見 実は、自分の仕事を説明するのって苦手なんです。というのも、世の中にある200くらいの業種のどれにも当てはまらなくて。うちの事業の目的は「企業を面白くして、日本を面白くする」ことなんです。企業が面白くなれば、日本全体が元気になると信じているんです。
僕自身、これまで銀行や広告で仕事をする中で、いろんな会社に出入りさせてもらってきたのですが、2010年に第一子が生まれる時に、自分の子どもに働いてほしいと思える会社がひとつも思い浮かばなかった。それって、企業のカルチャーや組織の仕組みに問題があるんじゃないかと。イノベーションが生まれない理由もそこにあると思うんですよ。
でもそれって一つの部門の問題じゃなく、複数の部門にまたがった全社的な問題。だから、まずは経営者と向き合って、企業が社会に果たすべき役割や存在意義、すなわち「北極星」を明確にし、カルチャーや事業そのものを根本から改革していく必要があるんです。それが僕の仕事です。
竹下 とはいえ、200も業種がある中で、既存のどれにも当てはまらない事業をどう生み出したんですか?
国見 最初から「面白い日本企業を増やしたい」という目的ははっきりしてたんです。けど、具体的なやり方はまったく見えていなかった。ベンチマークもなかったから、全部自分で考えるしかなくて。考えているうちに、結果として、デザイン会社ともコンサルティング・ファームとも違うし、どの業種にも収まらない仕事になったんだと思います。
竹下 2100さんは広告業界でも有名ですよね。実際にお話させていただき、本当にすごいなと実感します。そんな2100としての展望や、国見さんご自身が向かう“北極星”についてもお聞かせください。
国見 根っこは変わってなくて、1社でも多く日本企業を面白くしたい。最近は企業だけじゃなく、社会構造そのものを面白くしようというプロジェクトも始めています。これは僕たちだけではできないし、共に歩む仲間が必要。そのネットワークをどう築くかが次の課題です。
竹下 企業の中で「こんなふうに変わった」という実例があれば教えてもらえますか?
国見 あるメーカーでは、新規事業が次々に立ち上がるようになりました。でも、1年で変わる会社なんてほぼない。だいたい3〜5年はかかる。でもその途中で、社員の言葉や会話が変わってくるんですよ。多くの会社が「新規事業を作ること」を目的にしちゃうんだけど、それだと続かない。大事なのは「価値を生み出したい」という思い。その熱量が事業になっていくんです。カルチャーが変わって、言葉が変わって、「誰かのために何とかしたい」っていう会話が出てくると、自然に事業が生まれる。つまり、「泉の源泉」を企業の中に作ること、それが僕の役割だと思っています。
竹下 僕の子どもは2008年生まれなので、お子さんと近いですね。やっぱり親としては、健康に、よく生きてほしいと思います。企業に求められる「ウェルビーイング」についてはどう見ていますか?
国見 間違いなく、これからの時代はウェルビーイングがもっと重要になってくると思います。でも、企業がまだ本気で向き合えていない。世界的にも、ウェルビーイングを経営の本流に取り込んでいる企業は少ないと思います。「コスト」と捉えるのではなく、「利益」に変えるという動きにしていく必要があるではないかと。人材採用の面でも大企業ではなくベンチャーを選ぶ人が増えているように、ウェルビーイングに先んじて取り組む企業が、これから強くなっていくはずです。
竹下 「入社した会社で健康をどう担保してくれるか」を気にしている親御さんが多いというデータもあるそうです。ウェルビーイングって、リクルーティングの強みになりますね。
国見 今はまだ「最低限これくらいやらないと」というディフェンスの姿勢なんですよ。でも今後は、それを積極的な価値に変えていく必要がある。
竹下 スポーツの世界も似ていますよ。昔はトレーナーが一人二人いるくらいだったのが、今では各分野のプロがそろって、チームのパフォーマンスも利益も上がる。企業もそうなっていくと思います。
竹下 国見さん自身は、日ごろどのような健康管理をされていますか?
国見 母がすごく食に厳しい人で、子どもの頃は玄米煎餅のような無添加のお菓子しか食べさせてもらえなかったんです。ソーセージとかもダメ。でもそのおかげで、野菜を摂るとか、無意識に身についてることは多いですね。ただ父は高知の酒豪で、その影響もあって酒はけっこう飲んでいました。でも今は休肝日も作って、週一でデポルターレさんに通って運動もしています。指導を受けながら、自分に合ったペースで続けられていて、本当にありがたいです。
竹下 登山がお好きで、でも膝の不調で行けていないということで、「また山に登れるようにしましょう」というのが始まりでした。
国見 最初は「もう登れない」と思ってたんです。でも竹下さんと食事したとき、「健康診断の数値は年齢とともに悪くなるものじゃない」「膝も絶対良くなる」って言ってもらえて、あれは本当に衝撃でしたね。あの言葉はエネルギーになりました。
竹下 年齢を重ねても衰えるだけでなく、進化できる部分もあるんです。最後に、国見さんの1日のスケジュールを教えていただけますか。平日と休日、それぞれどんな生活をされているのか気になる方も多いかと。
国見 昔は結構寝なくても平気だったんですけど、最近は7時間ぐらい寝るようにしてます。だいたい夜12時に寝て、朝7時に起きる感じですね。
竹下 それはいいですね。
国見 睡眠が取れないと、仕事にならないですから。考える仕事が中心で、決められた時間でアウトプットを出さなければならない。スケジュールが埋まっているので、二日酔いで半日潰れたりすると命取りになる。昔みたいに「2軒目、3軒目行こう」というのはなくなりましたね。基本は早く寝て、早く起きる。
竹下 平日の夜はどうされているんですか?
国見 週に1日は休肝日を設けて、家で食事を取るようにしています。それ以外は会食や打ち合わせで、外で食べることが多いですね。平日は「何してるの?」って聞かれたら、「ずっと考えてる」って答えるしかない(笑)。
竹下 食事は一日何回ですか?
国見 基本的に朝・昼・晩の3回はしっかり食べてますね。朝は軽めにして、昼は絶対に食べるようにしています。リフレッシュを兼ねて外に出られるといいんですが、実際は弁当が多いかな。でも、野菜をしっかり取るなど健康は意識しています。今日もサラダにチキンをつけましたよ、竹下さんのアドバイスを聞いて(笑)。
竹下 素晴らしい。やっぱりお母様の教えが染みついてるんでしょうね。
国見 それはあるかもしれないですね。
竹下 だから、皆さん羨ましがるような体形なんですね。休日はどう過ごされているんですか?
国見 基本的にはそんなに変わらないですけど、疲れているときは目覚ましかけずにとにかく寝ます。あと、妻は平日ほとんどお酒を飲まないので、「休肝日は土日にするな」って言われるんですよ(笑)。夕飯が長くて、だいたい2〜3時間くらい。ゆっくり食べるスタイルで、子どももそれで育ってるから、5品くらい出して「じゃあシメね」って言ったら、「え、少なくない?」って返ってくる(笑)。朝からみんなで「今夜は何食べようか?」って議論してるくらいです。
竹下 いいですね。休日はそうやってご家族とゆっくり食事を楽しむと。
国見 そうですね。平日家に帰っても、仕事のお知らせ事項が山ほど来て、話す余裕はあまりない。だからこそ、土日の夕食は家族でしっかり向き合う時間になっています。そうなると、買い物から気合を入れなくちゃならなくて、夕方から買い物に行き、料理を一緒に作って、というのが土日のルーティンです。これは何年も続いていて、この家族との時間を削るという発想は全くないですね。
Akihito Kunimi’s
Basic Time Schedule
(Week Days)
国見 基本的にはそんなに変わらないですけど、疲れているときは目覚ましかけずにとにかく寝ます。あと、妻は平日ほとんどお酒を飲まないので、「休肝日は土日にするな」って言われるんですよ(笑)。夕飯が長くて、だいたい2〜3時間くらい。ゆっくり食べるスタイルで、子どももそれで育ってるから、5品くらい出して「じゃあシメね」って言ったら、「え、少なくない?」って返ってくる(笑)。朝からみんなで「今夜は何食べようか?」って議論してるくらいです。
竹下 いいですね。休日はそうやってご家族とゆっくり食事を楽しむと。
国見 そうですね。平日家に帰っても、仕事のお知らせ事項が山ほど来て、話す余裕はあまりない。だからこそ、土日の夕食は家族でしっかり向き合う時間になっています。そうなると、買い物から気合を入れなくちゃならなくて、夕方から買い物に行き、料理を一緒に作って、というのが土日のルーティンです。これは何年も続いていて、この家族との時間を削るという発想は全くないですね。
竹下 考えるのがお仕事となると、どんなときにひらめくものなんですか?
国見 実はそこにもテクニックがあると思っていて。僕は朝のシャワーなんですよ。
竹下 朝シャワーですか?
国見 そうなんです。昔から、アイデアって「考えても出ないな」と思ってたことが、散歩中にふっと出てきたり、シャワー中に出たりすることが多くて。で、最近知ったんですけど、実は脳って、休んでいるときに活性化する部位があって、それが「ひらめきの脳」らしいんです。事前にしっかり考えておくことで、寝ている間にその情報が整理されて、シャワー中にアイデアとして出てくるんですよ。
竹下 なるほど。それはすごく実践的なルーティンですね。
国見 はい。だから僕は「一シャワー、一ソリューション」って言ってます。朝起きて15分後くらいにシャワーを浴び始めて、だいたい20分くらい入ってますけど、その間に課題の大枠が整理されるんです。
竹下 アスリートのフロー状態と同じような思考ですね。ルーティンでひらめきを呼び込めるというのは、ビジネスでも強い。
国見 そうですね。意識的にできるようになったことで、安心感はあります。
竹下 今日はすごいヒントをたくさんいただきました。ありがとうございます。
国見 昭仁(くにみ・あきひと)
大手銀行などを経て、2004年に電通入社。2010年、経営者と向き合いながら、経営、事業、インナーなどのあらゆる企業活動をクリエイティブの力で変革する「未来創造グループ」を立ちあげ、日本ではほとんど存在していなかったビジネスデザインのノウハウをゼロから創りあげる。以降、さまざまな業界のリーディングカンパニーからベンチャー企業において経営変革、事業変革、風土改革などのプロジェクトを150件以上実施。2017年、未来創造グループを拡張し、ビジネスをデザインする専門組織「電通ビジネスデザインスクエア」を立ち上げる。2018年に導入された新制度により、役員待遇となるエグゼクティブ・プロフェッショナルに最年少で就任。2020年、電通を退社し、企業の存在のあり方から未来をデザインするプロフェッショナルブティック「2100」を創業。