食と陶芸、
作る喜びが人生を豊かに
クリエイティブディレクター/
アートディレクター
秋山具義
デポルターレクラブには、トップアスリート、経営者、文化人、芸能人など幅広い業界の一流の方が多く通っていただいています。そうした一流の会員様がトップランナーとして走り続けるためには、ライフスタイルや日常の習慣にその理由が隠されています。そこで、デポルターレクラブでは、代表・竹下雄真と会員様との対談企画をスタート。日ごろ実践している健康法やウェルネスに対する考え方、そして、忙しい日々の中、どのようにスケジュールを管理しているかを聞き、一流の会員様が一流である所以に迫ります。連載第1回目は、アートディレクターの秋山具義さんをゲストにお招きしました。
竹下 具義さんとは20年ほどのお付き合いになります。アートディレクターとしてクリエイティブなお仕事をされているほか、グルメとしても有名です。まず、お仕事についてお聞きしてもいいですか?
秋山 1990年から1999年まで広告代理店に勤務し、その後独立して「デイリーフレッシュ」を設立しました。糸井重里さんに名付けていただいたこの会社は、昨年25周年を迎えました。主に広告業を中心に、ロゴデザイン、パッケージデザイン、キャラクターデザイン、CDジャケット、写真集、本の装丁などを手掛けています。さらに、ネーミングや言葉を使った仕事も行っています。最近はグルメ関連の仕事も増え、秋元康さん監修の深夜番組『キッチンカー大作戦!』(テレビ朝日系)やLiLiCoさんと稲葉友さんのラジオ番組『ALL GOOD FRIDAY』(J-WAVE)でのランチ紹介など、デザイン以外の活動もしています。
竹下 具義さんのロゴの飲食店は大ヒットすると評判ですね。
秋山 食べることが好きでデザインを生業にしているというところで、外部の人からも依頼しやすいと思われているのではないでしょうか。
竹下 たくさん素晴らしいデザインを生み出されていますが、具義さんの仕事をするうえでの信条をお聞かせください。
秋山 デザインに関してはクライアントがいますので、相手の思いや意図、問題点を解決したいという願望に対して、デザインで応えるのはもちろんのこと、企画や考え方、どのような状況でそれを見せるかという流れも含めどう返すか。それをきちんと考えることがいちばん大事だと思っています。3案で決まることもあればいくつも提案することもあり、なかには自分がやりたいと思うものもありますが、自分の考えは押し付けないですね。それから、パッケージデザインも多く手がけていて、東洋水産の「マルちゃん正麺」のパッケージデザインを2011年から担当し、広告も担当しています。袋麺とカップ麺の見え方や購入者の行動を考慮し、売り場で手に取りたくなるようなデザインを真剣に考えています。パッとデザインしたように見えるものでも2〜3カ月かかることもありますね。
竹下 どういうときにアイデアやイメージが浮かぶのですか?
秋山 基本的には常に考えていて、コンビニに行っても、商品を見ながら、なぜこういうデザインやネーミングになったのかを考えます。アイデアを蓄積もあり、34年の経験でパターンはわかりますが、正解はなく、予想外の成功や失敗がヒリヒリしますね。
竹下 いつごろから食に興味を持たれたんですか?
秋山 最初は、おそらく三田のラーメン二郎ですね。高校は都立三田高校で、入学したときに先輩からラーメン二郎を勧められました。最初はあまりの量の多さとニンニクに圧倒されながらも、3回目で虜になってしまいました。行列に並んでも食べたいというようなことをやったのは、それが初めてでした。社会人となり、バブル期の豪華な食事体験を経ても、やはり心惹かれるのはラーメンで、ラーメンへの興味は尽きることがありませんでしたね。その後、いろいろな高級料理や予約困難店に興味を持ち、周りのフーディーの方たちと楽しんでいた時代もありました。今はカジュアルな店や地方のソウルフードを紹介することが多いです。地方へ行くときは現地の人やSNSで情報を集めています。
竹下 そんなグルメな具義さんですが、健康で気をつけていることはありますか?
秋山 この年になると空気を吸っても太るので、3食食べるとどうやっても太ります。だから、1日2食にして朝か昼かはどちらかにしています。夕飯は、最近焼き鳥が好きで、コースで鶏肉を中心に食べることで炭水化物を控えめにできます。焼き鳥は人類の健康に良い影響を与えると思います(笑)。
竹下 いま、週1でトレーニングされています。ご自身で決めていることは?
秋山 僕、精神的に弱くて、自分だけでトレーニングする場合は回数をごまかしちゃうし、面倒くさくなってだんだん行かなくなってしまう。ですから、まずは行く日を決めよう、と。毎週土曜11時に行くことで、トレーニング後のランチを楽しみに続けられるようになりました。デポルターレクラブに行き始めて10数年、変な持続力はあるんです。
竹下 続けられているのはすごいことです。僕自身、今日は寝不足だからトレーニングはやめておこうとか、何かとやらない理由を考えてしまいます。やはり、人間は一人の決め事だけではなかなか続かない。トレーナーなど人との約束によって継続できるのだと思います。やり抜く力というのが、健康には大事だと思います。
秋山 イチローさんのドキュメンタリー番組などを見ていて、いまだにあそこまでストイックなトレーニングをしているのだなと驚愕しますよ。まあ、僕はアスリートじゃないですし、同じことはできないから、できる範囲でやっていこうかな、と。
竹下 具義さんは、筋力的にも動き的にも十分だと思いますよ。筋肉というのは、何もやらないとどんどん失われていくので、ダイエットよりも筋力を維持することを心がけるべきだと思います。美味しいものをいっぱい食べるには体力が必要なのです。
秋山 食べないで痩せても、すぐにリバウンドしちゃうんですよ。
竹下 やはり、食べないと筋肉量が減って代謝も落ちますね。グルメな具義さんに食べるということは人生を豊かにすることだと思います。
竹下 普段はどんなタイムスケジュールで過ごされているんですか?
秋山 平日は7時15分に起きてベッドで昔の朝ドラを見ます。7時半から今の朝ドラを15分見て、その後、8時から『ラヴィット!』(TBS系)を見ながら支度をし、必要であれば朝食を食べます。メールを確認し、前日の夜にデザイナーから送られてきた確認事項をチェックして返信します。会社は10時からですが、デザイナーを含め多くのスタッフがリモートワークのため、私も午前中は自宅で仕事をすることが多いです。昼前にはオフィスに出社し、打ち合わせやその他の業務を行います。夕方6時過ぎからは食事をしながら人に会い、その後、スナックで時にはテキーラを飲み、充実した一日を終えて帰宅し、1時ごろに寝ます。
竹下 お休みの日は大きく変わるんですか?
秋山 土曜日は少しゆっくり起きて、11時にデポルターレクラブでトレーニング。ランチは基本的に1人で食べます。土日は自分で料理を作ることも多いので、スーパーに買い物に行ったりもします。常々考えているのは、トレーニングと料理とか、体を使うことと趣味をセットにすることで脳にもいい作用があると思うんですよ。トレーニングをすると、美味しいヘルシーな料理を作ってみようと思ったりもするし、いろいろと繋がっているんだろうなって。
Gugi Akiyama’s
Basic Time Schedule
(Week Days)
竹下 まさにいま、ウェルビーイングという言葉がよく使われていますが、よりよく生きるために他にも何か取り組まれていることはありますか?
秋山 昔から陶芸に興味があったんですよ。仕事や観光でよく金沢を訪れていたこともあって、3年前に陶芸体験をしました。手作業に没頭することでデジタルデトックスになります。また、AIの時代、デザインはほぼA Iでできてしまうなか、陶芸を通じて、自分の手で何かを作り出す喜びと深い満足感を感じ、すっかり陶芸の魅力に引き込まれました。半年ほど続けた後、SNSに作品を投稿したところ、村上隆さんからギャラリーで個展を開く提案を受け、3月28日から中野ブロードウェイのカイカイキキのギャラリー『Hidari Zingaro』で個展を開催するんです。学生時代、縄文土器に触発された作品で受賞した経験もあり、自分の作品を純粋に作る喜びを再び感じています。来年で60歳になりますが、体力を保ちながら新しい挑戦を続けたいと思っています。
竹下 勉強になります。今日は素晴らしいお話をありがとうございました。陶芸展にもぜひ伺います!
秋山具義(あきやま・ぐぎ)
デイリーフレッシュ株式会社 代表取締役 クリエイティブディレクター/アートディレクター
1966年秋葉原生まれ。1990年日本大学芸術学部卒業。同年、株式会社I&S(現I&S BBDO)入社。
1999年デイリーフレッシュ設立。日本大学芸術学部 デザイン学科 客員教授。 iU情報経営イノベーション専門職大学 客員教授。
広告キャンペーン、パッケージ、ロゴ、キャラクターデザインなど幅広い分野でアートディレクションを行う。主な仕事に、東洋水産「マルちゃん正麺」広告・パッケージデザイン、日本フェンシング協会「新国章」デザイン、松竹「十八代目 中村勘三郎 襲名披露」ポスター、立命館大学 コミュニケーションマークデザイン、AKB48「ヘビーローテーション」CDジャケットデザインなど。「日本パッケージデザイン大賞2017」にて「マルちゃん正麺カップ」が金賞受賞。著書に「世界はデザインでできている」「ファストアイデア25」がある。2016年より「食べログ」グルメ著名人としても活動。
秋山具義個展【秋山具義の陶芸展】
日程:2025年3月28日(金) - 4月3日(木)
開廊時間:12:00 - 19:00
場所:Hidari Zingaro
東京都中野区5丁目52-15 中野ブロードウェイ 3階
詳細はこちらをご覧ください。
https://zingarokk.com/gallery/hidarizingaro/exhibition/53358/